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ないものねだりのろくでなし

ヒンセザレバドンス



今日からやっと授業が始まるので、くまったくまったと言いながら僕は最後の年をとここまで書いてきて、最後の年をあれどうすんだっけとか思う。春なのに冬みたいな気候がそうさせるのか。そのうえ桜の花はもう大半が葉を従えている。普通の人なら狂う。というのは、狂うべきである、と書くべきだったかもしれない僕。

、まあとにかく私はきょろきょろしながら電車に乗りいささかの南武線の香りを持ったまま学校へ行った。学部の掲示板には就職課呼び出しの紙に山とか桃とかいう漢字が書かれていて、なんだこれとかシット!となる。人数からしてほとんどの人がちゃんと提出してんの、そんなん。私わざと出してないしカットツーンペ!とか思いながら、私の中に虚しいなにかが残。らない。どうでもいい。青春パンクって中途半端だとえらく悲愴感に満ちるな。だからどうでもいいって。

吃音学院おもしろかったと思ったら殉教もなかなか、しかし微笑は大変読みごたえがあって、一番面白いというか、立ち入り禁止地帯をえぐられてえぐられてひたすら気持ちのよいような感じだった。パラグラフの中にある微細な言葉によってというより、3年ほど、かねてより浮いては沈みを繰り返していた感情が掬われたことによってそう感じた。ここまで主人公に対してあーあーとなってしまうのは、中学生のときに読んだ安吾の感触とも違くて、もっと絶望的だしもっとも希望的でもある。

小島信夫は戦争のことを書いてもまるで今と何も変わってないんじゃないかと思わせるし、どこかに最後の純文学と書かれていたけど、私恥ずかしながら言うけどほんとうは純文学が好きだ。あんな苦悩の仕方ってない。

そんなわけで春は始まってしまった。狂いと苦悩の季節。