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ないものねだりのろくでなし

かえるよ



今日で火曜日のお仕事は最後。新刊が出ましたよと沖縄に電話をしたら3分くらい待たされ、それが却って心地良かった。Jesse Sykesの声の世界のように、私には忘れたくない世界がたくさんある。夕方の駅のこととか、小田急線の揺れとか、坂道、雑然とした道具箱、笑い声、帰りのバス、そしてなぜかいつかきっと私はまた帰ってこれるような気がしている。形は違っても、優しい世界はきっと私を待っていてくれるように思う。

学校の飲み会の時間まで仕事場の駅まで遊びにきた彼を駅まで見送る。人の多さと足並みの速さと熱気に圧倒されて、あまり言葉は交わさなかった。何度も振り返る彼を最後まで見ていた。私たちが振り返るのは、帰る場所を確かめるためだろうか。外に出たらそっと雨が降っていた。だいぶ待ってバスに乗り込み、メールを送る。Jesseの声を聴きながら、誰かを待ち誰かの帰る場所でいることも悪くない、とその時の私は本当にそう思った。