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ないものねだりのろくでなし

序章



グラハムスミスがだいすきな私は、ベッドのうえであれこれと考えをめぐらしました。すてきなものからひどいものまで、それは数え切れないほどです。そしてだいたいが形になる前にたちまち消えてしまいます。火星人はくさいから掃除機に吸い込まれてしまいましたが、彼らは掃除機の中にまちをつくりました。やがて飛行機を造り屋根をつきやぶり、外に飛び出すのです。ベッドのうえであれこれ考えることは容易にできるけれど、屋根をつきやぶるのは並大抵のことではありません。とても辛くて涙を流すこともあるでしょう、思い通りにならなくて怒り狂うこともあるでしょう。だけれど外を知らないまま掃除機の中で葬られるのはまっぴらごめんというやつです!グラハムスミスがだいすきな私は、プレーヤーを止めて起きあがったのです。