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ないものねだりのろくでなし

ある子供



ある子供 / ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ

ニューテアトルで1000円だったからまだ良かった、期待はしてなかったのでまあやはりこんなものかなという感じの。

でもなんでブリュノに間違いを犯させたのか考えてみた。今までの映画だったらたぶんジミーを売っちゃうまでの道やらバスやらで何か素敵なハプニングが数回起きて売るのを思いとどまらせるとか、だから映画としてそのほうが映画だなと思ったのだけれど。そうじゃなくて、ほんとに売っちゃった。でもあっさりはしてるんだけどちょっとは悲しそう。それはそれでまた売った後で罪悪を感じて自殺するとか狂ったりするような感じでもないし咎められもしない。唯一ソニアにキレられて警察にばれるから必死で取り返したり。でもジミー取り返したあとも子どもとつるんでひったくりしたり全く改心してない。ソニアもヒステリーになってるだけで内面は全くわからない。最初のほうの追いかけっこは最高だったのにどんどんみんな感情がなくて不気味だった。おならで大爆笑してるシーンは浮いてる感じすらした。

でもなんでブリュノはスティーヴのことは裏切らなかったのかよくわからん。そんなに大事な友達のような描写もなかったし。

ストーリーが殺伐としてるんだからもう少し丁寧に描いてほしかった。感情の動きつまり行動のきっかけがさっぱり私たちに見えない。それが現代だとか言われればそれまでだが。だけどそうすると、でそれが何?というふうになる。

最後は改心したんだか(きっとしてないだろうけど)わからん夫婦の刹那的な号泣シーン、喜劇でも悲劇でもなかったのに急に無理やりうそくさい希望をつくる感じが全く意味不明だったし投げられた感じがしていやだったな。

比較すんのもどうかと思うけど同じような作りの映画として、エレファントは観る人を客観的にさせないし無駄な感動も全て排除させた描き方なのに対してこれは全て逆だった。この作りも含めて歪みとかあるいは別の何かを表現したかったのかもしれないがそれは私には伝わらなかった。ただこれ撮った人映画が嫌いなのかしらと思うくらいの映画(?)だった。なんかすっごい。ある意味。

とまあここまでぐちぐち言うほどもったいないくらいとてもいい題材だと思ったのでリメイクしてくれんかなー韓国とかで。

とここまで書いたんだけど、親とか友達とかと話を聞いたり聞いてもらったりする経験があまりなくて怒られもしないし誉められもしないからブリュノはこうやって育って、でも最後の最後にソニアは分かち合ってくれたから感動できるんかなー。