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ないものねだりのろくでなし

2006-04-24



◆ものがたる

ひとつ、”ものがたる”ことを恐れずにやってみなくては、と思う。というのは私、今日ぶらんこ乗りという本を読んで泣いた。それはもちろん、彼のこと以外の何でもなくて、いまやもう彼周辺のことと言ってもいいように思う。それくらい私は彼のことを過去へと追いやってしまったし、彼自身の本当の気持ちというものを無視し続けてきた。この3年。2003年と今現在の間を行き来をしていたとは言っても、もっと深く潜らなくてはいけなかったのかもしれない。


◆ぶらんこ乗り

ドトールで泣く私。というのはいしいしんじのぶらんこ乗り読んで、もうあれもこれもというふうに過去のすれちがいが・いろんなことがこみあげてきて、それと月の引力についてのパラグラフとが一瞬で響きあったから泣かざるをえなかった。それで今、私もう正直よくわかんないとしか思えなくてアイスココアの余韻も甘いんだか苦いんだかわからない。

−家の前は川です 夜の真っ暗な川の上を通るのが好き 川の表面がたまにゆらりと光り 川のほうからフーと吹いてくる風はひんやりとしていて懐かしい匂いがして気持ちいい ずっと向こうにある橋を赤い自転車で通る人がぼんやり見える 橋をくだるとき、新しいスニーカーのひもの先がコンコンと当たる音も好きだ それで昔のことを頭のなかでものがたることも なんだか私はなつかしくやさしい気分になる−

ただ、今はすべてのことがなつかしくて仕方ない。見知らぬ人がとくに。それに悲しくない自分が悲しいだけです。楽しむ自分を楽しむことはあまりなくて、楽しむ自分はおおよそいます。どれも悲しむ自分よりは圧倒的に多いです。悲しい人はどこにいるのでしょうね。もう私には正直わからないのです。だけどこの物語は、不思議とどうしようもなく人間の血のあたたかい部分を触ったかんじになるのでした。なつかしい、なつかしい。