ニセ
私は、ジッドの贋金つくりという本がとても好きです。
これは、普通の小説ではありませんが、しかし普遍の小説です。個々の複雑な思想や行動の小説であり、それはやはり普遍の小説です。この矛盾こそがこの小説です。複雑な人間関係と人生そのものがこの小説です。
私はこの本が大好きで、上下巻を一気に読みました。きっと、人生で一番好きな本かもしれません。これを読んでから、私は物語小説にあまり興味がなくなってしまいました。なぜならこれはノンフィクションとフィクションの間で揺れ続ける本なのです。現実と創作、普通と異常と、感情と行動と、思考と肉体と、嘘と本当と、愛と憎しみと、その間を行ったり来たり!
大層なことを言いますが、私もいつかこんな本を書いてみたい!と思ってもみるのです。