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ないものねだりのろくでなし

親愛なるきみへ



今日は君がここにいる。わたしの住んでる国にいる。

前に君を見たときは、一人も友達なんかいなくって、情けなくも、

きみの声とギターの音にだけ心を開いていて、

君は強いなあって思って、やさしいなあって憧れてて、

きみが光るステージの上で笑ってギターをぐるんとやるだけで、

私の目の前はとっても明るくなってしまった。


次の日も、君の声を聞いた、

橋の下の音楽は、風と一緒に、唯一のぼくの友達だった。

泣いているぼくの頬をなで、いつもやさしかった。

いま私は独りじゃなくなったけど、(さいしょから独りなんかじゃなかったけど)、

君は変わらずいつも笑ってて、つよく、やさしい声と音を届けてくれて、

だから明日君に会えると思うとねむれないんだ!!


君は偉大な愛と強さを持ち、私はただそれに口を開けて憧れてるだけで、

だけど最近おれは、自分も偉大な愛と強さを持とうとおもった。

大好きで大切なひとたちのために、しっかりしようとおもった。

誰かの悲しみや、自分の引きずっている影にただ入り込んでいるだけなんて、

そんなのただ甘えているだけだ。責任を押し付けているだけだ。


私も変わらず絶えず笑って、誰よりもつよくあろうと思った。

私は音楽じゃないけれど、しっかりと自分の表現をしようと思った。

明日君に会ったら、そういうことを考えながらステージ上の君を見つめるから、

そしたらやっと私はきみにすこし近づけると思うんだ。