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ないものねだりのろくでなし

ふんわりワードの呪い

我が家の場面緘黙症の子であるが、教室では言葉が出ないだけでなく表情がこわばることも多々ある。始業式の翌日、さっそく子がクラスメイトの女の子に言われた言葉に怒りまくって帰ってきたのだった。
「いつもニコニコしていないと可愛くないし嫌われるってうちのママもいつも言ってるよ」
連絡帳チェックのために列に並んでいた時に、前にいた女の子が振り返って言ってきたようだ。話を聞いた私はなんてヤツだ!とプンプンしそうになったが、子の怒ってるポイントは「ママがママがっておまえはバブちゃんか!!!ニコニコしてりゃ正解なんか!!」ということだったのだ。たしかに、と思わされた。つまりそれはこの二つの視点だ。

 

◆お母さんが言っていることは正しいのか
◆いつもニコニコしていないといけないのか


私の推測では、おそらくその女の子のお母様は「いつもにこにこしていればお友達がたくさんできるよ」というふんわりした意味合いで声かけしているのだろう。そして「私のママが言っていることはいつも正しいのだから周囲にも教えてあげよう」という考えで彼女はコワイ顔したうちの子にもそう言ったのだろう。
だけど本当は、いつもニコニコしてないといけないわけではない。無理してニコニコしてまで人に好かれたり友達を増やす必要はない。”好き嫌い”と”尊重する尊重しない”ということは全く別物であると考えているからだ。


結局子は彼女に反論しなかったというかできなかったというべきか…。家に帰ってからしばらく猛烈に怒っていたが、途中からへこみだしてしまった。まだ八歳、他人の言葉に囚われるのも無理はない。それは呪いの言葉なんだよ。家族みんなで無理してニコニコする必要はないと言っていたら、あの子はぶりっこするのが好きなんだな、ということで着地したらしい。
その子がもし単刀直入に「怖い顔してるから私はあなたが嫌い」と言ってきたとしたら「あっそう私はぶりっこ嫌い」でスッキリ終わるし、嫌いだけれども”この子はそーゆー子なんだ”ってお互い認め合えそうな話。嫌いだからあなたのことは認めない、とかっていう話にはならなかったのかなって思う。


いやしかし、ふんわりワードってのは本当に呪いの言葉になるなーと自分を戒めたい。